打ち切り漫画研究会では、平松伸二先生を応援します!
「男純情鯉太郎」最高!
迷作打ち切り漫画セレクションにSWORD BREAKER/梅澤春人を追加しました。(2002.12.04)
短命漫画傑作選・ライジングインパクトに2度目の打ち切りについてを掲載しました。(2002.02.19)
迷作打ち切り漫画セレクションにBig Star 大吉/原作・吉田滉一 漫画・椿アキラを追加しました。(2001.12.12)
迷作打ち切り漫画セレクションにGUN BLAZE WEST/和月伸宏を追加しました。(2001.08.04)
短命漫画傑作選に純情パイン/尾玉なみえを追加しました。(2001.04.05)
迷作打ち切り漫画セレクションにコスモスストライカー/戸舘信吾を追加しました。(2001.02.03)
迷作打ち切り漫画セレクションにShake Down/伊豫治好を追加しました。(2001.01.20)
第一部完のまま終わった漫画にシグナルブルー/森川ジョージを追加しました。(2001.01.15)
迷作打ち切り漫画セレクションにキララ/平松伸二を追加しました。(2000.12.27)
SWORD BREAKER、 Big Star 大吉、 GUN BLAZE WEST、 ロケットでつきぬけろ!、 武士沢レシーブ、 SILENT KNIGHT翔、 将、 竜童のシグ、 翔の伝説、 男坂、 ラブ&ファイアー、 キララ、 Shake Down、 コスモスストライカー、 甲冑の戦士・雅武、 ザ・グリーンアイズ、 てんぎゃん、 影武者徳川家康、 BAKUDAN、 SLAM DUNK、 BE TAKUTO 〜野蛮なれ〜、 蹴球伝−フィールドの狼−FW陣、 シグナルブルー、 セクシーコマンドー外伝・すごいよ!マサルさん、 幕張、 バオー来訪者、 飛ぶ教室、 恐竜大紀行、 惑星をつぐ者、 ライジングインパクト、 サバイビー、 純情パイン
ここで扱う漫画は、単行本にして4巻以下の比較的「短命」な連載漫画である。 もちろん、一概に4巻以下といって一括りにしてしまっていいものか、という反論は あろう。例えばたった10週であっても見事にまとまっているものもあれば、 長く続いたものの最後はやはり打ち切りと同じ様にして終わってしまった不遇な 作品もある。特にジャンプ系の漫画の場合、人気のあるうちには終わらせてもらえず、 だらだらと引き延ばした挙げ句に人気がなくなって消えていく、という作品が 多い(北斗の拳や聖闘士星矢などが好例であろうか)。
このように作品自体の長さと打ち切られ方とは本来独立のもので、必ずしも 「短命=打ち切り」の図式が成り立つわけではない。しかし打ち切り作品の大多数が 短命であることもまた事実なのである。「打ち切られ方」には主観が入るため 定量化することが難しい。そこで我々は客観的な規準として「単行本4巻以下」という 目安を導入することにした。
なお「打ち切り漫画」ではなく「打ち切られ漫画」が正しいのでは? という突っ込みは 当然あると思うが、語感の点から当研究会は「打ち切り漫画」の名称で統一する ことにする。
え? このページだけ他のページと文体が違うって? 細かいことは気にしないように。
最終更新日: 2002.12.04
肉ばーっかり食べてると、たまには魚も食べたくなるでしょ?自分の本領はあくまで不良モノである、というところなんでしょうか。 しかし梅澤先生は元々スペースオペラファンタジーの「酒呑☆ドージ」でデビューしてますし、 「BφY」の前身の「HALERUYA」でも、ハレルヤは天使という設定でした。 そういう意味で、梅澤先生が久々に「本来の」ファンタジーに戻ってきたこの「SWORD BREAKER」でしたが、 敢え無く打ち切りとなりました。 しかし色んな意味で歴史に残る打ち切り漫画になったと思います。
ファミレスとか行くと、メニューの写真にダマされて、 ついチョコパフェ食べたくなっちゃったり……。
この作品を書こうと思った動機をたとえるなら、 そんな感じ………かな?
この「迷作」のコーナーでいきなり褒めるのから始まるってのも珍しいんだけど、 まず評価したいのは、絵柄を前作から大きく変えてきたこと。 美形揃いで、その手の大きなお姉さんたちにファンが多かった「るろうに剣心」 と同じ路線でキャラを作っていれば、恐らくそれなりの固定ファンがついていただろうに。 しかし敢えて美形路線を捨て、より少年漫画らしい絵柄にしたのは、 結果として打ち切りの一要因にはなったかも知れないけど、評価したいと思います。 できれば次にまた美形に戻したりしないで欲しい。
で、ここからはいまいちだった点。 やはり前作ヒット作を飛ばした作者は待遇が違うなあ、 と思ったのがプロローグ。5週もかけてプロローグをやるとは、 10週の場合6週目で既に打ち切りが決定していると言われているジャンプシステムの中ではかなり異例。 ただ、内容的にどうしても弟子の尾田栄一郎の「ONE PIECE」第1話とカブるんだよなあ。 向こうが1話でシャンクスを強烈に印象付けたのに比べると、 「負け犬マーカス」は5話かけた割にはいまいち、って印象。 実際ひたすら走ってただけだし。 また、ジャンプシステムの弊害か、誰もマーカスが死んだと思っていなかったのも痛かったなあ。
主人公は前作の剣心の鬱二重人格キャラから打って変わって単純バカなキャラにしたんだろうけど、 印象はまんま弥彦なんだよねえ。しかも弥彦はまだ考えて戦っていたけど、 ビュー君の場合はただ強い奴を見ると「闘いてえ」って言っているだけのように思えた。
もう一つ致命的だと思ったのは、やっぱり銃の扱いが軽過ぎたこと。 西部劇で「不殺」は無理があるよね。いや、ビューは別に「不殺」とは言っていないんだけれども、 結果として銃では一人も殺してないし。 銃の扱い方にしても、殴るとか、煙幕を張るとか、 薬莢を飛ばして当てるとか、空中で向きを変えるのに使うとか、 本来以外の使い方ばっかりだったし。 あと、必殺技の「コンセントレーション=ワン」の登場と習得もちょっと唐突だったかなあ。
キャラについては、コリスはちょっと狙いすぎかなあと思うけど、 他のキャラはまあ良かったと思う。 特に最後の方に出てきた、 J.Jや甲冑男爵はかなり面白かった。 いや、甲冑男爵が空飛んだときに私は吹っ切れましたね(笑)。 そうか、これはそういう漫画だったんだ、と。 それならそうと最初から言ってよ、って感じ。 ウィルのロープっていうのもかなり面白い戦いが描けそうだったんだけど、 打ち切りになってしまって省略されてしまったのはちょっと残念。
最後に打ち切られっぷりについて。 最終回に新キャラフルネームでいっぱい登場。しかも年齢付き。 でもセリフなし、ってのがいかにも打ち切りっぽくてグッド。 やっぱりマーカスは生きていたってのもお約束でいいですね。 打ち切りポイント(なんだそりゃ)かなりアップです。
しかし改めて第1話の表紙を見返してみると、最後のインディアンが滑り込みだったけど、 一応全キャラ登場できたんだねえ。これはかなり珍しいことでは。 ワンピやマンキンみたいに続けばともかく、 打ち切られた作品でなおかつ全キャラ登場させたってのは偉業かも。
まず「時が飛ぶ」感覚(キングクリムゾン?)を久々に味わわせてくれた作品だったこと。 「都さん」とか言ってた主人公が、いきなり次の週にF3のチャンピオンになっていて、 しかも関西弁で喋る謎の彼女「ありす」を連れていた時には、 マジで何週か読み飛ばしたかと思った。 「ありす」のキャラ自体は、初回の扉にいたらしいので、 後々出す予定のキャラではあったのだろう。 で、打ち切りが決まった時点でどうしても出したかったんだろうなあ。 しかしそれにしても説明なさ過ぎ(笑)。 三銃士の最終回の「ああ、恐ろしいゲームだった。 思い出しただけでも身の毛がよだつ…」も相当なもんだと思ったが、 読者がどんなことがあったかを想像できる分相当マシだったよなあ。
さて、赤城の自己中逆恨みワガママぶりや、 かなり意味不明な最終回のオチ(妊娠ウソオチ)など、 内容の突き抜け方(笑)もさることながら、 それよりもこの作品の特徴は毎週の作者コメントにあったと言えよう。 この作者コメントは、大きく3つのフェーズに分けられる。
最初の数週は次回予告をわざわざ最後のコメントで行う、
というかなり特異なことをやっていた。
次回から展開が変わるなどの時に「次回からはいよいよ○○編。
お楽しみに!」などというコメントはよくあるが、
始まったばかりの漫画の予告を毎週するというのは聞いたことがない。
そして真ん中のほとんどの週は、毎回他の先生に話題を振るという、
これまた前代未聞なことをやっていた。
それも振られても返答に困るような話題ばっかり。
案の定それに対する返事は全然他の先生から返って来ず、
その寒さを倍増させていた。
冨樫義弘氏のコメントによって、
藪野武士氏と共に「HUNTER×HUNTER」のアシをやっていたらしいことはわかったが。
これらのユニークな(笑)毎週のコメントによって、
「全部の先生に話題を振るのが先か、打ち切られるのが先か?」
とキユコメントマニアとでも言うべき人種がネット上に現われ始めていた頃
(ちなみに予想は後者の方が圧倒的に多かったが)に訪れた、
ラス前週の衝撃のカミングアウト。
「毎回この欄はボツを食う」
ボツ食らってあれかー!ボツになる前の、読みてー!
と真剣に思いました。
そして、最終回のコメントは、車田正美の「……Good-bye」と共に歴史に残る捨て台詞と言っても良いだろう
(赤丸に掲載されたコメントとほとんど同じらしいが)。
「痛みを知らない子供が嫌い。心を無くした大人が嫌い。やさしい漫画が好き。バイバイ」
このコメントを読んだ80%(当社比)の人が、
「痛みを知らない子供=春田」「心を無くした大人=赤城」
という連想をしたらしい。
まあいろんな意味で印象に残る作品(作者?)ではあった。
また、連載終了直後から、コメント欄で他の先生方(武井先生、
尾田先生など)に気をかけてもらってたのが、結構笑った。
連載中にかまってやれよ(笑)。
キユ先生コメント集
さて、それはそれとして、これの最終回は、 まさに打ち切り漫画史上に残る素晴らしい回だったと思う。 いや、マジな話、最終回が一番面白かった。 「打ち切り」それ自体をギャグにしてしまうという、 恐らく漫画家が一生に一度しか使えない捨て身のギャグ。 「さるでもかける漫画教室(通称・さるまん)」に、 「もし巨人の星が打ち切りになっていたら」というのがあって、 その中に「1ページでダイジェストで全部見せる」、 というのがあったが、まさにそれを地でやってしまった。 とどめは年表だ。 ヒザサポの影で鬼嶋がちゃんと成功しているのが、なんともおかしい (「ONIZIMA」ってコンビニ、チェーン店にまでなってるのか?)。 このアイデアは、恐らく今後は誰も使えない、 「漫画界で一度だけしか使えない究極奥義」として、 伝えられていくことであろう。
冷静に分析すればやはり設定が聖闘士星矢に似すぎていたのが敗因だろう。 聖衣→シェルター、ペガサス流星拳→ファルコンバースト、 小宇宙を感じる→フィールがする、などと置き換えれば容易に想像がつく。 また主人公のサイレントナイトの上にはミッドナイト・ホーリーナイトといった 上位のナイトが存在する、というのも青銅の上に白銀・黄金の聖闘士がいた 聖闘士星矢となんら変わっていない。 その手の人達に人気の出そうな皇虎と涼の登場が遅すぎたのも致命的であった。
あの最後の「NEVER END」と作者からのコメント「……………Good bye.」は 永遠に伝説として語り継がれていくことであろう。車田正美に栄光あれ!
内容的には「超能力もの」である。普通の高校生だった主人公が能力に目覚め、 同じ様な能力を持つ集団から追われる。そこに現れた仲間達。といった よくあるタイプの話である。
単行本にして3巻分であるから10週よりは長く続いたのであるが、何がスゴイと いってその終わり方である。正直な話、私は本誌でこの漫画が終了したことに 全く気づかなかった。友人に指摘されて初めて気がついたくらいなのである。 確かに良く見れば最後のページに「将は今週で終わりです。長い間応援ありがとう ございました」のようなメッセージが書いてあったのだが。つまりそれほど 最終回らしくない最後。普通の連載漫画を途中で切ったような感じなのだ。
この漫画が打ち切られた時、高橋陽一の「翔の伝説」を踏まえて 「主人公がショウの漫画は打ち切られる」というジンクスが当研究会で 生まれたのだが、そのジンクスは車田正美によって証明された……
普通の打ち切られ漫画の場合、終了の1週、あるいは2週前にいきなり話が 急転回し、主人公が最後の敵に向かっていく後ろ姿でシメ、みたいなパターン が多い。ところがこの漫画では、3週前の時点で「音速の慈音」なる(ラスボスの 一歩前の)敵が登場したシーンで終わっているのにも関わらず、次の週では すでにラスボスを倒したことになっている、というすごい飛ばし方がなされて いた。マジで1・2週分を読み飛ばしてしまったのではないかと思った程だ。
結局この「間のエピソード」は単行本における加筆、という形で解決されている。 下手に最後をねじ曲げて終わらせるよりは、いっそ後から加筆して完成させる ために途中をバッサリ飛ばしてしまう、という解決法を取ったのかも知れないが、 前代未聞の手法である。単行本の2巻につけられたタイトルがその「飛ばされた エピソード」の名前であるところにも作者の執念のようなものが感じられる。
これ以降高橋陽一は野球、ボクシングなど様々なスポーツ漫画に手をつけるが、 さすがに「翔の伝説」の反省からか無謀な伏線を張りまくることは止めたようだ。 そして結局どれも長続きはせず、 「キャプ翼」に戻ってきたことはよく知られたところである。
内容は「ケンカ」による世界の征服。九十九里から始まって、 やがては日本を統一し、世界へ進出…という予定だったんだろうが、 北海道の「カムイケン」を味方に加えようと言うところで 突然物語は急展開を見せる。この最終回の「一の関突破!」 「二の関突破!」の下りは何度見ても笑える。 そして打ち切り漫画史上に燦然と輝く最後のページの「未完」の文字。 こんな未練がましいことをしたのは後にも先にも車田正美だけであろう (懲りずに「SILENT KNIGHT 翔」でもう一度やるんだけどさ(笑))。
しかしこの漫画、10週目あたりからいきなり展開を変えてしまう。 主人公の炎と愛が全く登場しなくなってしまうのだ。 代わりに登場するのは草影幽二という、「ボクシングによる仕事人」。 ボクシングに関する恨みを聞きつけ(呼ぶには藁人形が必要(笑))、 依頼を受けてリングに登る。そして時には対戦者を再起不能にするのだ。 それまでのストーリー性は消え失せ、ジーザスもホタルもどっかへ行ってしまい、 一話完結方式の仕事人漫画になってしまった。 「リングの恨みを思い知れ〜」ってそりゃブラックエンジェルでんがな。 で、突然最終回ではなぜかそれまで何の面識もなかったはずの 炎と草影幽二が対戦して終わり……やっぱりジーザスはどっかへ行ってしまった。 名作となれる素質を持ちながら、 みすみす逃してしまったようで非常に残念な作品の一つである。
この後平松伸二は「キララ」という、 これまたキれた打ち切り漫画を残して週刊少年ジャンプから去って行くのだが、 それはまた別の機会に……。
甲子園のマウンド上、27奪三振による完全試合達成目前の超高校級天才投手・生沢輝良々(キララ)。 しかし彼には天才ゆえの気まぐれ癖があった。 そして27奪三振目前で気の抜けた球を放り、完全試合は途切れる。 そこに突然銀行強盗で人を殺してきた強盗犯が現われ、 試合を観戦していたキララの恋人が人質となってしまう。 彼女を救うために犯人に向かって渾身の球を投げるキララ。 しかし二人は撃たれ、命は取り留めたものの、 彼女は下半身付随に。そして、キララは弾が心臓の近くに残ってしまい、 手術で取り出すこともできず、弾から溶け出す毒が徐々に体を蝕んでいくのだ…。
平松伸二のキャラクターは重い宿命や運命を背負うことが多いが、 キララは負の宿命ここに極まれり、という感じだ。 すでに甲子園のヒーローだったはずの主人公は、 この事件により一転して負の宿命を背負う。 「あなたがさっさと完全試合を達成していれば私が巻き込まれることもなかった」 とちょっと理不尽な言いがかりをつけられながらも、 自分を追い込むために、不良の溜まり場である高校に転校し、 一から再び甲子園を目指す。
物語はここから仲間を集め、 一試合やった時点で打ち切られてしまうのだが、 この試合がまた凄い。 ここまで高校生らしくない高校野球を私は知らない。 不良ものの高校野球漫画といえば、今ジャンプで連載している「ルーキーズ」もそうだが、 あっちはちゃんと野球やってるもんな。 キララが元々凄すぎるので、まともにやったら試合にならない、というのもあるのかも知れないけど、 胸に神経毒を塗った針を吹き刺して、 ホームベースでのクロスプレーでそれを埋め込むなんて、 そんなプレイ私にはとても発想できません(笑)。
神経毒でフラフラになりながらも、 命を削って投げる「重い球」(何しろ打ったボールが回転しながら地面にめり込んでいくくらい重い) によって立ち直っていくキララ。 なんでも、「毒によって毒を制す」体だかららしい。なんじゃそりゃ。
最初からワイド版の「ジャンプコミックデラックス」として発売されているため、 入手するのはかなり難しいと思うが、20世紀の遺産として(笑)、 是非とも読んで頂きたい一冊である。
紫龍学園のNo.3、No.2、そしてトップ・江川。
そして「祭り」と四天王・乾、猿渡、甲斐、真樹。
王道とも言えるベタな展開でインフレしていく敵。
はっきり言ってここまではよくあるヤンキーもので、
取り立てて特徴のない凡作である。
敢えていうなら、登場人物がとても中学生には見えないことか。
設定だけ高校生に変えても全然問題ないような…。
しかし優作が四天王の一人・乾を倒したところから、 物語は急展開を見せる。 追う側から的をかけられる立場になった優作たち。 四天王の一人・猿渡の卑劣な策略でツレの拳太をやられた優作は、 「こんなつまらないもんが祭りだったのかよ」とキレ、 猿渡を刺してしまい、そのまま少年院へ。 主人公が出てくる時には、すでにメインキャラたちはみんな卒業してしまっていた。 ツレだったはずの拳太もケーキ屋見習になってしまい、 二度と出てこない。誰が1話を読んだ時点でこんな展開を予測できたであろう?
結局、少年院の中で知り合った柊という男とともに、 柊の故郷である香港へと渡る。 しかし香港編になっても、 中坊のケンカから、マフィアとの本当の命のやり取りに変わっただけで、基本的にやってることは同じ。 街を仕切っているチャンを倒し、その次はハマー・ヘッズを倒し…。 いつの間にか「黄龍」と呼ばれる首領となり、 すっかり香港を「ここがオレの故郷だ」とか言ってる優作。 こんなにあからさまな「テコ入れ」は見たことがない、 という意味で非常に印象的な打ち切り漫画であった。 最後の数話で3年が過ぎ、5年が過ぎ、10年が過ぎる、 怒涛の時間経過もとても打ち切りっぽくてGood。
一言で言うと劇画調バトルサッカー漫画。 作者の戸舘信吾は、あの「北斗の拳」の原哲夫のアシスタントをやっていたこともあり、 今のジャンプでは失われた「濃い」劇画調のキャラクターを描く。
物語は近未来の1992年(えー?)。ある時スーパーマニズム(超蹴球戦士)なる超人たちが現れ、 各地のサッカーの試合をのっとっていく。 彼らはサッカーで世界征服をもくろむ「サードエンバイア」の手先だったのだ。 この「試合」がまたすごい。ボールが破裂するわ、 超高速で脇を駆け抜け相手選手の三半規管を破壊するわ、もうやりたい放題。 なんでまたサッカーで世界征服をしなきゃならんのかというと、 かつてヒットラーがオリンピックを戦争に利用したように、 サッカー選手にあこがれる気持ち(「カリスマシンドローム」)を利用して、 子供から洗脳してサードエンバイアの手先にしようという遠大な計画だったらしい。
そしてそんなスーパーマニズム達に対抗すべく、 密かにリアルマニズム(真蹴球戦士)が結成されていた。 彼らは行方不明となっていた元一流の俳優やスポーツ選手たち。 巨人の最年少ドラフト選手やら、レーサーやら、忍者やら(忍者の現代での職業はスタントマンらしい。妙にリアルで笑える)、 タレント揃い。っていうか、元サッカー選手は1人しかいないし。 彼らは「コンセントレーション」たる技(単なる集中力?)を使って5mくらいのワープをするぐらいは朝飯前。
後半に入ると実はそれまでのスーパーマニズムは所詮「二級蹴球戦士(セカンド)」に過ぎなかった、 といって「一級蹴球戦士(ファースト)」の奴らが出てくる、という車田チックな展開が燃える。 「一級蹴球戦士(ファースト)」になるとコンセントレーションで50mくらいワープできるらしいぞ。 ってサッカーでそんだけワープできたら、それだけで十分じゃん。 技もエスカレートし、フィールドに稲妻が走って相手を倒したり、 磁力を発する空間を作ったり(「磁力」なのになぜかボールも選手も引き寄せられる)、 インパクトの見えないシュートだったり(かなり意味不明)。 どうでもいいが、「カテナチオ」って言葉をこの漫画で最初に覚えた子供の立場ってのはどうよ?
この漫画中で一番笑えるシーンが、 主人公が磁力空間に囚われそうになったところを、味方選手の1人が「させるか!」といってわざと先に犠牲になって突っ込むんだけど、 そこでアナウンサーが「あ、今のプレイはオフサイドを取られたようです」って冷静に実況してるところ。 一応サッカーだったんかい!(笑) 人が1人爆発してるってのに、オフサイドをしっかり取ってる審判ってのもプロに徹してるよなあ。
最後は右手にブラックホールを宿すという究極の敵キーパーが出て来るんだが、 コスモス側は11人でパスをつないで、最後は主人公が光の十字架に変化して、 そのブラックホール(暗黒宇宙)を消滅させる。 なんでもコスモスの11人は、太陽系の惑星10個(今は小惑星となっている1個を含む)と太陽の力をそれぞれ宿していて、 主人公は太陽の力を持っていたらしい。 で、最後はただのキックでゴール。 当時、まだ「キャプテン翼」が全盛だったのに、 敢えてこんなキワモノサッカー漫画を載せたジャンプ編集部の勇気に乾杯。
関連リンク:
青春恥墓場 (by カイコウツカサさん)
最終更新日: 2001.01.15
「第一部完」。さも続きがあるように見せながら、帰ってこなかった作品は数多い。
ジャンプの場合、「第一部完」で一旦終了していない場合には、 すでに第6部まで行っている「ジョジョの奇妙な冒険」を初めとして、 「翔の伝説」や「電影少女」を含めていくつかある (もっとも第二部に入った途端に終わってる漫画も多いのだが)。
しかし一旦終了してしまった場合には、続きがあった方が珍しいくらいである。 おそらく「山下たろー君」と「アウターゾーン」くらいではなかろうか。
ここでは、打ち切られた作者の執念や怨念の集大成とも言える、 「第一部完」のまま帰ってこなかった作品を取り上げる。 いつか幻の「第二部」が見られることを願って……
最終更新日: 2001.04.05
アンケートの人気によって連載を続けるかどうか決める「打ち切り」というシステム…。 このシステムはこれまでにさまざまな作品、数多くの作家たちの悲劇を生み出してきた。 たしかに打ち切られた漫画の大半は面白くない漫画かも知れない。 しかし一般的な人気を得ることができずに打ち切りとなりながらも、 今なお金字塔となって輝き続ける傑作漫画が、一握りではあるが確実に存在する。 そのような砂漠(ゴミの山?)の中に埋もれた宝石とでもいうべき傑作たちの存在を知ろうともせず、 ろくに読みもうちから「打ち切られた漫画なんてどうせ全部つまらないんだよ」 などとわけ知り顔でのたまう連中は、 極上の宝石とめぐり会う機会を自ら放棄していると言ってもよいだろう。
連載は単に長く続けばいいというものではない。長く続いたがゆえに終わり時を見誤り、 不遇な最期を迎えた「名作になりそこねた凡作」たちも数多く存在する (むしろジャンプのシステムではそのような作品の方が多い、とも言える)。 これもある意味打ち切りシステムが招いた悲劇である。 そして逆に「短期で終わったが故に傑作となった」作品も少なからずあるのだ。
ここでは打ち切りのシステムの犠牲となり、短命に終わりながらも、 まぎれもない傑作と呼べるであろう漫画を紹介する。 なお、くれぐれも「迷作」と混同してはならない(^_^;)。
しかし単にそれだけならば「心に残る打ち切り漫画」ではあっても、 ただそれだけだったでしょう。 敢えて今、この「短命漫画傑作選」に この漫画を選んだのは(なんかエラそー(笑))、 この漫画の連載が1999年27号から再開されるからなのです。 先日発売された単行本1巻の帯にこう書いてあります。
大声援に『少年ジャンプ』が応えた!!「連載終了直後から」って辺りが苦笑してしまいますが、 確かにこの作品が終わった時のネット上の感想ページ・掲示板等での反応は、 ほとんどが「なんで面白いのに終わってしまうの?」というものばかり。 こんなに好意的な打ち切られ漫画も珍しいなあ、と思ってました (「仏ゾーン」の時もかなり評判良かった記憶がありますが、 今回はそれ以上だったかも)。 恐らく、一緒に始まったのが、いまや3大看板漫画の一つになりつつある 「ヒカルの碁」でさえなければ (もっと言えば、「邪馬台国」「FW陣」「大好王」と一緒に始まったのであれば^^;)、 打ち切られずに残ったのではないか?そう思ってました。 しかしジャンプでは、所詮アンケートが全て。 主にアンケートを出す小・中学生の層に受けなければ、 それ以外の層に受けても編集部には届かない…。
ライジングインパクト連載再開決定!!!
週刊『少年ジャンプ』No.27号(6月1日(火)発売)より「またガウェインに会いたい!」− 連載終了直後から殺到したキミたちの熱い声援に応え、 なんとガウェインがプニプニ〜っと『少年ジャンプ』に帰ってくる! パワーアップした「ライジング インパクト」を期待して待て!!
ところがこの連載再開決定!の報です。 これはジャンプ史上でもかなり異例なことです。 過去、連載が一度中断・終了してから再開した例としては、
くらいしかありません。 打ち切られて終わった後に、読者からの声によって連載が再開するなんてのは前代未聞です。
今回のケースは、敢えて言えば 「HALERUYA」→「BφY」のケースに近いかもしれません。 でも「HALERUYA」の場合も最初から10週であることは決まっていたという話もありますし (真偽のほどはわかりません)、 「BφY」として始まった時にはハレルヤが天使である、 という設定は綺麗サッパリ消えていたので、 「同じ展開」で再開というわけにはいかなかったのでしょう。 そういう意味でも画期的なことです (もっとも「ライジングインパクト」も同じ展開で再開するとは限りませんけどね。 中世騎士道ゴルフ漫画になってたり、とか(笑))。 一因には、ネットの普及によって、 E-Mailで手軽に編集部に意見が届くようになったというのも大きいかもしれません。 (アンケート葉書のように切手代がかかりませんし)。 きっと殺到したんだろうなあ。 この事実は大きいですよ。何しろ、これからは打ち切られた漫画でも、 その後の反響次第では再開可能である、ということがわかったわけですからね。 ジャンプのアンケート至上主義も変革の時期に来ているのかも知れませんね。
単行本での書き下ろしになるのか、それとも赤マルになるのかはわかりませんが、 「真の最終回」および央先生の次回作に期待したいと思います。
しかし単行本で書き足し多数!ここまで書き足されているのは、 なかなか見たことがありません。 2巻までの書き足しぶりを見て、期待していましたが、 最終巻(3巻)での書き足しは十分に満足が行くものでした。 上記の「バズーの理屈」に対しても十分な説明がなされているし(納得するかどうかは別ですが)、 何より、本誌での最終話のあとに「真の最終話」が丸々書き足されてます。 これがまた何ともいい。ライバー、デブリンそれぞれの活躍も十分に描写されてますし、 女王の成長ぶりも描かれていて、今後に期待がもてるエンディングでした。 いやあ、作品だなあ。
「単行本での書き足し」という点だけみると、「竜童のシグ/野口賢」と同じなんですけど(笑)、 あちらは作品として未完成だったものを完成させた、 こちらは作品としての完成度を格段に上げたという点が違うかな? 単行本になって、「名作」と呼べる作品になったと思います。
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週刊少年ジャンプのページ(萬年さん)