最終更新日: 1997.09.12
さて、カセットに表示されている分(46とか60とか)ですが、 実際にはテープの長さはもっと長いというのはよく知られている事実です。 では一体どれくらい長いのでしょうか?
長年の経験から学んだ結論から言うと、「片面につき1分以上」長いのです。 つまり46分テープならば48分以上録音できることになります。 もっともこれはメーカーや何分テープかということにも依存するので、 一概には言えないのですが、少なくとも片面につき1分近くはどのカセットでも余裕があります。 そこで、この「余裕」を最大限に利用して、なるべく余白を残さないようにするのが、 「カセット職人」の腕の見せどころです。
私の経験では、AXIAのテープでは片面につき約1分18秒の余白があります。 Sonyのテープは短めで、1分弱です。TDK!は1分15秒程度でした。 この傾向はメーカーが一緒ならばだいたい種類(J'z だの BOX だの)によらずに一定です。 また、長さが長くなるほど余白も長くなる傾向にあります。
[追記]なんと、AXIAの新しいモデルでは、 余白時間が大幅に短くなっていました! J'z2の46分テープだったのですが、 片面につき40秒ほども余白がなかったくらいです。 これははっきり言ってショックでした……。AXIAだけは、と信じていたのに……。 こんなところを削るなんて、セコいぞ!>AXIA (1997.09.12)
例としてスピッツのデビューアルバム「スピッツ」を取り出してみましょう。 このアルバム、総時間は48分10秒となっており、 普通の考えではいくらなんでも46分テープには収まらないでしょう。 ところが、6曲目のところで分けるとちょうど24分10秒と24分になり、 AXIAの(昔のモデルの)46分テープならばほぼ確実に(しかも余りがほとんどなく)入れることができます。 ありがとう、スピッツ。こんなに分け易い長さにしてくれて。
もっとも全てのケースでこううまく行くわけではありません。 以下ではカセットに編集する場合のテクニックをいくつか紹介します。
そこで重要になるのが、次のテクニックです。
A面: α→β→γ
B面: γ→β→α
次にδとεという曲を入れることになったとします。 δ・εのいずれもγより短くて、結局改善されないのであれば、 B面に収録して終わりです。
そうでなくて、γの代わりにδを入れれば丁度入る、という場合には、 A面のγを上書きしてδを入れます。つまりこうなります。
A面: α→β→δ
B面: γ→ε→以下は消す
A面: α→δ→ε
B面: γ→β→以下は消す
この方法の欠点は上書きをするために、カセットが劣化する可能性があることです。
あと細かいことになりますが、
ここで考えられる手法は次の2つです。
2は私の好きな手法です。まあ、これもアルバム製作者の意図から外れると言えば外れるのですが。 よくやるのは、アルバムに収録されていないC/W曲を、シングルを借りてきて一緒に入れる、ということです。 こうすると、アルバムだけを持っている人はこの曲聴けないんだな、と優越感に浸ることもできます(^_^;)。 入れる場所としてはB面の最後か、A面の最後、あるいはB面の最初、 などあまりアルバム全体に影響を及ぼさないところがいいでしょう。
いかがだったでしょうか。MDの普及に伴いいまや絶滅寸前となっているカセット職人の技。 是非後世に残していって欲しいものです。
とか言ってMD買ったらこんなことすっかり忘れてしまうんだろうな。